東京船堀のホールでジョージアの音楽と日本の和太鼓のコラボが催された。ジョージアと日本の国交30年の記念だという。そこにゲスト、アンバサダーとしてニーナ・アナニアシヴィリがやってきた。私と夫は勇んで船堀に向かった。勇んでというのは大袈裟では無い。コロナ禍の続く中、東京まで行くには勇気が必要だった。もう引退を表明したニーナだから踊りは見られないと思ってはいたが、彼女の豊かな人間性に少しでも触れたいという思いが強かった。東京と新潟に住む友人たちと船堀で待ち合わせ、久しぶりのデートも楽しんだ。
開幕の挨拶にニーナとジョージアの大使が登壇した。私たちは一番前の席に陣取っていたが、左寄りの私たちの真ん前にニーナは立っていた。
前半のジョージアの音楽にはポリフォニーの歌声などを期待していたが、弦楽四重奏の優しくも力強い調はどちらかといえばクラシック音楽に近い雰囲気だった。時々うねりのように力強いリズムと民族性の感じられるメロディが、豊かなジョージアの緑を思い出させてくれた。
休憩時間にニーナは客席でニコニコとファンに応えていた。久しぶりの挨拶に「オー、アーユーファイン?」とこの長い月日を感じさせない笑顔だ。思わず「もっと踊ってほしい」と伝えると「それは大変、もっと絞らなくちゃ」というようにお腹を叩いて苦笑する。そんな仕草までが素敵でとても年齢には見えない。
ファンの勝手な思いではあるけれど、ニーナにはいつまでも素敵な笑顔で輝いていてほしい。そして小品でもいいから踊ってほしい。ニーナがもう踊らないなんて・・・考えたくない!