今ではあまりにも有名になったローザンヌ国際バレエコンクール、数年前にそのコンクールで優勝した二山治雄さんが出演するコンサートを見てきた。
コロナウィルスが世界中に蔓延する今、大好きなバレエも遠隔地で行われるものを見に行くのは怖い。地元長野でのコンサートだったから見ることができた。そして、その美しさに感動。
よく言われることだが、立っているだけでそこに目が吸い寄せられるということは確かにある。スッと歩いて行って、何気なく立っている。ライトが当たっていなくてもそこだけが明るい。こういう人がいるのだなぁ・・と実感した。
二山さんは長野の白鳥バレエ学園出身なので、これまでにも何回か舞台を観てきた。浮いているようなジャンプ、伸びたつま先、真っ直ぐ上に昇っていくような回転、いつもその美しさに目を奪われてきた。ただ、パ・ド・ドゥなどで女性と組むと、わずかに気後れのような空気が生まれる。そこが唯一残念だった。
現在は世界屈指のバレエ団パリ・オペラ座で研鑽されているという。コロナ禍の中で踊り続けることは大変なことだろう。
この日私たちの前に現れた二山さんは、輝きを増していた。女性をリフトする時も臆さない。彼の踊りから発散されるものが真っ直ぐ観ている心に飛び込んでくる。これが表現力と言われることか。ジャンプや回転などと分解して言うことはいらない。滑らかな一つの踊りの世界の真ん中に彼がいた。