久しぶりに劇場でバレエを観た。春から広がった新型コロナウィルスの感染者数は相変わらず減らないけれど、安全に実施する方法も静かに探られてきたようだ。首都圏を中心に、国内バレエ団の公演が少しずつ実現してきた。しかし、長野で暮らしていると、首都圏への旅には躊躇が伴う。感染を避けてスマートに動ける自信がないのだ。だから、バレエの公演も遠くで応援するだけとなってしまう。
そんな時、首都圏の外れで行われるバレエコンサートに孫が出演するとの連絡が入った。昨年も出演したスクールの発表会。
私たちは孫を応援するべく、ホテルを予約した。車で往復、レストランには入らないなどと自分たちに言い聞かせ、久しぶりのバレエ鑑賞に行ってきた。
マチネーはスクール生を中心としたヴァリエーションの発表。小さな子供たちも一生懸命に踊っている。孫は黒鳥のVa.を舞台いっぱいに踊った。
そして、ソワレはカンパニー定期公演。「ラ・バヤデールより第2幕」と、創作バレエ「ニホンノシンワ〜AMANOIWATO〜」が上演された。
「ニホンノシンワ」は様々な音楽を投入し、舞踊もクラシックとモダンを合体させたような複雑な動きで進んでいく。そんな中、孫はツクヨミ役で頑張っていた。天照大神、須佐之男命、月読尊・・・古事記に登場するそれらの神々を彷彿とさせる展開の中で、ツクヨミは静かに世界を眺めているかのようだった。
マスクをして静かに鑑賞する会場、ブラボーは心の中で叫んだ。