憧れ
  少女マンガ誌のグラビア写真


私がまだ子供だった頃、少女マンガ月刊誌が人気になり、友人から見せてもらったり、まれには自分でも買ってもらったりした。カラーのグラビアページには時々バレエの写真が載っていた。ふわふわしたチュチュを纏ってポーズをとる二人の少女。可愛い二人の名前をしっかり覚えていた。森下洋子さん、大原永子さん。

それから長い時間、子育てや仕事に忙しく、バレエは意識の底に隠れていた。


ふと、バレエを見てみたいと思った時、頭に浮かんできたのは少女の姿の二人だった。そして、横浜の劇場で森下洋子さんの『コッペリア』を観た。スワニルダ(主役:森下さん)が家から飛び出してきた瞬間に心を鷲掴みにされた。


写真・大原永子さんと
大原永子さんと

大原永子さんは海外で活躍されていたので、私には彼女の舞台を鑑賞することは難しかった。帰国後、新国立劇場の芸術監督をされているとは知っていた。

そして昨年春、新国立劇場にバレエを観に行った時、休憩時間にホワイエを歩いていてふと気がついた。芸術監督の大原さんだ。突然立ち止まった私の動きが目についたのか、大原さんがこちらを向き、目があった。にこり。

大原さんは友人らしい男女と談笑されていたが、3人の話が一瞬途切れた。著名人といえども、友人と話しているときにファンが声をかけるなどというのはとても失礼なことだ。とは、わかっていたが、私は思わず話しかけてしまった。男性は私たちの写真を撮ってくださり、大原さんは、私の思い出の向こうから笑顔を送ってくださった。




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