97 背中が笑っている?


孫たちがなぜか順番に一人ずつ長野にやってきました。特に決めたわけでもないのですが、彼らの予定、部活やアルバイトや入試などの組み合わせでそんなことになりました。

それぞれに楽しみ方や過ごし方の違いがあるので、私たちはゆっくり一人ずつと過ごせてなかなか楽しい時間でした。

そして、あるときふと気づいたのです。中3、高2の孫たちが玄関から入る時に、脱いだ靴をきちんと前向きに揃えているのです。


彼らが小さいときには、何回か揃えるように注意したことがあります。けれど、いつかそんなことは口で言っても効果がないことだと気がついたのです。

尊敬する田村一二さん(障がい児教育の先駆者1909-1995)が確か何かの本に書いていらっしゃったと思うのですが、やはり玄関に脱ぎ散らかしている子どもたちの靴を自分で揃えることにしていたと。そして、そんな行為が楽しくすら感じるように、当たり前になった頃、ふと気づくと子どもたちが自分で靴を揃えていたというのです。

田村さんの真似をしようと思ったわけではなく、私が同じことをしていてふと読んだら田村さんもそうだったという順番でしたが、そう、私は孫たちの靴を、出かけるときに気持ちよく履けるように揃えるようにしていました。田村さんちはそうだったかもしれないけれど、うちの孫たちにそうなってほしいと強く思っていたわけではありませんでした。小さい頃は「お靴を揃えてね」などと言われても、気持ちが先に行ってしまっているのかなかなか靴にまで気が回らないものです。私はそんな彼らの小さな可愛い靴を並べるのが、ただ楽しかったのです。


小さかった孫たちが順番に小学生になり、当然彼らの靴も大きくなってきました。仕事を終え、長野に引っ越した時には、年長の孫が小学校を卒業しようかという頃でした。遠くなったため、家族揃ってやってくるのは盆と正月。一度にたくさんの人が溢れ、狭い玄関は靴でいっぱいになってしまいます。

夏は靴とサンダル、冬は雪靴と運動靴というふうに、一人で2足の靴が並ぶことも多いのですから当然です。最初の頃はそのたくさんの靴がみんなバラバラしていたような気がします。時には重なってしまっていたりして・・・。

それが、今気がついてみると、彼らは玄関のたたきに上がると、脱いだ靴をきちんと外向けにして揃えているのです。たわいもない事なのですが、なんだか感動しました。


教育の世界でも、子育ての世界でも「背中を見せる」という言葉があります。子供たちに、あるいは生徒たちに真に伝えたいと思うことはまず自分が実践しなければいけないということでしょう。『言うは易く、行うは難し』の見本のような言葉です。

photo・古いノート
道路の氷重いね

photo・さぁスキーだ、自分で準備
さぁスキーだ、自分で準備

しかもその行為をどうだと威張って見せつけたり、義務感に押しつぶされるようにしていたのではダメ、自分の内部から湧き出るように、楽しむくらいに自然に動いている背中ではないと力がなさそうです。同じ田村さんの書に確か「背中が笑っている」と言う記述もあったような・・・。


私や夫、私の子どもたちの背中が笑っていたかはわかりませんが、孫がいつの間にか身につけていた習慣を好ましく、成長したなぁと思うこの頃です。




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