76 オランダからのメール

※ オランダの女性の言葉部分は筆者の意訳なので、文責は筆者にあります。英語文は原文のままです。


10月後半、友人と一緒に志賀高原に出かけました。渋峠まで車で行って、そこからリフトで上がり、わずか歩いて山頂を踏むという、『登山』とは言えないけれど楽しい山歩きでした。自然の中に身を置くことが好きな私たちは、10月末の霜が解けてぬかるむ山頂の道を歩いて三角点を見つけ、そこからの展望に歓声を上げたのでした。

横手山山頂から噴煙を見る

草津白根山の火山活動が活発化しているために通行禁止になっている、懐かしい山並みもそこからは見えました。そして遠くに白い煙が見え、ああ、あそこが火山活動のまっただ中なのか・・・とうなずいたのでした。

横手山にはスキーに、山歩きに、何度も訪れていましたが、三角点のある横手山神社に立ったのは初めてでした。


その日山頂で景色を眺めていると、外国人の男女がやってきました。山頂広場やヒュッテのあたりには思ったより人が多かったのですが、黒い森に囲まれた狭い山頂には人影はありません。日本人でも来ないところに外国人が来たのでビックリしましたが、その外国人が「こんにちは、きれいですね」と、日本語で挨拶をしたので、さらに驚きました。女性は日本語を少し話すことができ、『ひらがな』も読めるそうです。

並んで景色を眺めていれば自然に口もほころびます。私たちはブロークンイングリッシュで、会話をしました。彼らは日本を旅行しているオランダからの旅人で、昨日は長野の善光寺へ行ってきたこと、時間がなくて『戒壇くぐり』はできなかったけれど善光寺は素晴らしいテンプルだと思うこと、そして山が大好きということなどを短い時間で話し合ったのでした。二人はこれから京都や長崎を回って帰るそうです。

オランダからの旅人と私たち夫婦は並んで写真を撮りました。そして彼女は「写真をメールで送ってください」と、名刺をくれました。二人の名前とメールアドレスが書いてあります。彼女の名前も教えてくれたのですが、難しくてなかなか発音できません。二人は時間を気にしながら「さよなら」と言って帰って行きました。


それから数日後、私は写真を添付して彼女のアドレスにメールを送りました。約束したことは守りたいものです。けれどしばらく経っても反応がありません。ひらがなが読めるという彼女のために書いた『ひらがな』のせいではじかれてしまったのかもしれないと思い、もう一度メールを送ってみました。2回目は英語だけで書いたのですが、やはり反応がありません。私には彼女がメールを受け取って返信をしない人には思えませんでした。


1ヶ月過ぎても音沙汰がなかったので、今度は手紙を書きました。幸いもらった名刺にはオランダの住所も書いてあったのです。プリントした写真を入れて、私のメールアドレスと、メールを送ってみたことを書き添えて。

その反応はすぐでした。5日ほど後、オランダからのメールが届きました。手紙が届いたこと、もらったメールは違うファイルに入っていて気がつかなかったことなどが詳しく書いてありました。そのメールには日本の旅の時に撮ったという、浴衣を着ていろりの前で撮った二人の笑顔の写真が添付されていました。

私もすぐ無事に届いて良かったと返信しました。すると再びすぐ返信があり、『メールだけでなく、諦めず手紙を送ってくれた』ことに対する感謝の言葉が書いてありました。 That was such a thoughtful and kind thing to do!
通じ合うことの喜びが伝わってくるようでした。

『私たちは似ているかもしれない I think we have many things in common. 』と言う彼女はアーティストだそうで、2度目のメールには自分の作品の写真と、オランダの落ち葉の写真が添付されていました。





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