55 学習は動きながら〜ミッキー先生3〜


ミッキー先生が帰り際に次回は大きな紙を2枚用意して欲しいと言いました。手真似でこれくらいと言う大きさは自分の身長くらいでしたから、私は模造紙を2枚張り合わせて用意しました。

そしてその日、「bodyの名前を勉強しましょう」というテーマで、授業は始まりました。2枚の紙を床に敷いて、男女それぞれ代表が紙の上に横になりました。残った生徒たちが、鉛筆で横になった生徒の体の輪郭をなぞっていきます。事前に面白い格好をしてねと伝えてあるので、モデルの生徒は考えています。

写真・体の名前(body)

出来上がった紙に描かれた人物のラインに、今度は洋服を着せたり、目鼻を描いたりしていきます。その時に、それぞれ体の部位の英語を発音しながら、あるいは生徒が「ここはなんと言うの?」とか「ここはニー(膝)でしょ。ニードロップ!って言うから」などと話しながら描いていくのです。いつも思うのですが、動きの伴った授業は活気があり、そして忘れにくいものとなります。

最後は男女それぞれが出来上がった絵を比べて大笑い。モデルになった生徒の横に教員が絵を並べて見せると、教室中が笑いの渦に包まれました。そして、「ライトレッグ、太い」などと、さっそく覚えた体の部位の名前を英語で言い合っています。

写真・体の名前(body)2

私はこの後何回かこのミッキー先生の手法を真似させてもらいました。生徒たちの興味を高め、授業に集中していく道をさりげなく開いていく、ベターアイディアだと思います。

思うに、言葉が通じ合えなかったからこそ、その人の行動そのものを見るしかなかったのかも知れません。

1学期が終わって、夏休み前に感謝の小さなパーティを計画しました。生徒たちがアイディアを出し合い、ゲームと歌を考えました。日本の折り紙も用意して、ミッキー先生に教えてあげるのだと得意そうに話し合っていました。


写真・夏休み前のパーティ

私はこのクラスが2年に進級する時、転勤となりました。新しい担任にミッキー先生を紹介し、後を引き継いでもらうようにしました。ミッキー先生は日米を往復していましたが、来日中は、6人の生徒たちが卒業するまで英語授業を手伝ってくれたのです。

ミッキー先生は私の離任式に来校しました。そして「あなたの行く学校に私も行くわ!」と言うのです。それから私が転勤した学校の『英語クラブ』に、さらにその後の学校にも、通ってくれました。出会ってから十数年、ずっと『ミッキー先生』として。

アメリカとの手紙のやりとりも含め、生徒との係わりの姿を、またいつか紹介したいと思います。





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