24 暗闇でも・・・見える?


孫のサラちゃんは小学5年生。習っているバレエのオーディションを受け、初めてプロの舞台に子役として出演することになりました。しかし、バレエ団の稽古場は、彼女の住んでいる三浦半島から遠い埼玉県です。日曜ごとのリハーサルには両親が頑張って送迎していましたが、4日間の本番前集中リハーサルは毎日通うのが難しく、稽古場の近くにホテルを予約し、私と二人で4泊5日過ごすことにしました。

朝ホテルのレストランで朝食を食べ、一駅電車に乗ってバレエ団のある駅に向かいます。最寄りの駅からは15分くらい歩いて稽古場に着くと、私は自由時間。3時過ぎのレッスン終了に合わせて迎えに行きます。帰ってホテルに荷を置いたあと、夕食は駅周辺のレストラン街で、その日の気分で選びます。


私にとっても初体験のお楽しみでしたが、サラちゃんにとっても両親から離れてのホテル暮らしという初めてのできごとはワクワクするものだったようです。ホテルに着くと全身でベッドに飛び込み、「やったー」と叫びました。ベッドに手も足も大きく伸ばして横になり、ベッドの大きさを確認しました。それから部屋の探検が始まります。窓から外を眺めました。

写真・ホテルの窓から電車を見る

「あっ、電車が4コ(4本の列車)もいるよ」と、大きな声。私ものぞくと、4階の窓の下には電車の線路が何重にも並んで見えます。すぐ近くの最寄りの駅はいくつかの路線の乗換駅で、引き込み線もあるようです。サラちゃんは電車のすれ違いなどをしばらく眺めていましたが、再び部屋の中。

「テレビがある」。どうやったらつくか、チャンネルはいくつかとテレビの前に置いてある冊子に目をやり、「これいやだぁ」と言いました。それは有料放送の案内で、半裸の女性がニコリとしている表紙でした。サラちゃんは冊子を裏返し、「うん、これでいい」。日中掃除の人が毎日表紙を出して置くのを、ホテルに戻るとサラちゃんが裏返していたようです。最後に部屋を出るときに「もどしておこう」と、戻しました。毎日部屋に入ると一番にやっていたので、私は帰る日まで気づかなかったのです。そうそう、5日間テレビは全くつけませんでした。

次は電話機に向かいます。「あ〜、この電話好き。ママにかけていい?」と言うので、「お部屋の電話でかけると料金がかかるから、携帯でかけてよ」と、私。

写真・受話器

「わかった」と言いながら受話器を取り上げて話し出します。

「あ、ママ、今ホテルだよ。ばぁがお迎えに来てくれたよ。ウン、え?大丈夫だよ・・・」話はえんえんと続きますが、回線はつながっていません!これも毎日。独り芝居の報告電話をかけていました。旧式の受話器が好きなのだそうです。

そのあと毎日の練習が大切と、椅子や小さなテーブルを動かして、ベッドの隣に作った空間で基本の動きを一通りおさらいします。


写真・練習

たっぷり動いて、夜。「そろそろ寝ましょう、明日も早いよ」
「は〜い」と、ベッドに横になったサラちゃんに電気をどうしようかと相談です。
「真っ暗はいやだから、小さくつけといて」と、サラちゃん。「人間の目は暗くても見えるんだよ」と言う私に「うそだぁ」。

「でも暗くしてみて」と言う彼女は探求心旺盛です。電気を全て消しました。遮光カーテンは外からの明かりを遮断しています。真っ暗。

無言。・・・しばらくして「あー、見えてきた。少しずつ見えてくるよ。指も見える。・・・ほんとだ」。感動のつぶやきです。

でも安全のためにフットライトをつけて、「おやすみなさい」。





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