87 長野市花めぐり9月(長野県)      2019年9月

photo・アサガオ
アサガオ


朝顔の花を思い浮かべて秋を思うか夏を思うか、さてどちらの人が多いだろう。俳句では秋の季語だけれど、朝顔と聞くと夏を思う人も多いかもしれない。9月に入ると少し勢いが弱まったかに見えるアサガオだが、まだまだ空き地に、畑の脇に、いくつものお庭に、いろいろな色を広げている。

秋といえばすぐ思い浮かべる花にはコスモス(秋桜)がある。風に揺れるコスモスは高原のイメージか、可憐に見えるけれど意外に豪傑で、勝手にタネを散らして毎年我が家の庭にも背を伸ばしている。1輪だけ見るよりもまとまって揺れている方が美しい。

photo・コスモス
コスモス

最近は大きなキクイモも秋のイメージだろうか。バスに乗って高原を走ると道路の脇に大輪の黄色い花が一面に咲いている。いつの間にこれほど増えたのかと思うくらいあちこちで見る。

9月に入ると、途端に秋の気配が濃くなるのは、ここが長野だから。関東の太平洋近くに住んでいた頃9月はまだ残暑厳しい夏の名残のイメージだった。それでも彼岸の頃には森の裾野を彩るヒガンバナが燃えるように輝くのは同じだ。季節の移ろいは面白いものだと感じる。花々は私たちには及びもつかない叡智で生き延びてきたのだろう。

photo・キクイモ
キクイモ

photo・ヒガンバナ
ヒガンバナ


道端に咲く花々は季節を問わず花盛りなのだが、とても小さい花だったり、あまりに繁殖力が強くて人間に嫌がられたりして、「花」を愛でられることが少ないように思う。春のオオイヌノフグリやホトケノザなどが一面に広がっているとその色の美しさに立ち止まることがあるようだが・・・。

photo・イヌタデ、アメリカセンダングサ
イヌタデ、アメリカセンダングサ

私は「草」と嫌がられる道端の小さな花も好きだ。秋の道端の花は大型のものが多く、目立っている。ただタネをお土産にたくさんくれるのは困る。野原を歩いて、ふと気がつくとズボンの裾や、袖にいっぱいしがみついている。ミズヒキがいつの間にか庭の片隅に咲いているのもお土産のおかげだろうか。子どもの頃おままごとで使ったタデの花も懐かしい。ミゾソバもおままごとのご飯になりそうな花だ。


photo・ハナタデ
ハナタデ

photo・ミズヒキ
ミズヒキ

photo・メナモミ
メナモミ

photo・ミゾソバ
ミゾソバ

photo・オオマツヨイグサ
オオマツヨイグサ

最近道端ではなかなか見つけられない花に山道で出会った。オオマツヨイグサ、身近で見られるのはめっきり減って、メマツヨイグサばかりが多くなった。緑の草原に大輪の明るい黄色が月のように輝いているのを見つけて嬉しくなった。


photo・タチフウロ
タチフウロ(円内は切れ込みあり)

高山の秋の花を見ようと長野市の里山の盟主飯縄山に登った。山の上は冷たい風が吹く季節だけれど、お花畑には色とりどりの花が揺れていて、あれもこれもと数えながら歩く心弾む山歩きになった。タチフウロの花びらが桜のように切れ込んでいるものを見つけて嬉しくなって写真を撮った。明るい太陽の光を浴びて薄桃色にゆれるフウロは山頂直下の神社の鳥居脇に足の踏み場もないほど咲いていたが、花びらが切れ込んでいる個体は一つだけしか見つけられなかった。

photo・タカネナデシコ
タカネナデシコ

photo・エゾリンドウ
エゾリンドウ

photo・ツリガネニンジン
ツリガネニンジン

photo・ヤマトリカブト
ヤマトリカブト

秋の山らしく、背の高いヤマトリカブトやタチアザミ、キオンなどが群落になってその茎の間をかすめるように遠く麓の町や湖などが見下ろせるのも空気が澄むこの季節ならではの風景だろうか。オヤマボクチの大きな花も葉も目を惹くが、こちらはあまり群落になっているのを見ない。




photo・タチアザミ
タチアザミ

photo・キオン
キオン

photo・オヤマボクチ
オヤマボクチ

photo・ウメバチソウ
ウメバチソウ

photo・ヤマハハコ
ヤマハハコ

背の高い花は目立つので、つい目を奪われてしまうが、足元にももちろん色とりどりの花畑がある。飯縄山ばかりではなく、市内の色々な高原でも見ることができるのは嬉しいことだ。ウメバチソウ、ヤマハハコの白、アキノキリンソウやミヤマオトギリの黄色、ツルフジバカマは赤紫に草原を染める。


photo・アキノキリンソウ
アキノキリンソウ

photo・ミヤマオトギリ
ミヤマオトギリ

photo・ツルフジバカマ
ツルフジバカマ

photo・オケラ
オケラ

photo・コシオガマ
コシオガマ

photo・ハナイカリ
ハナイカリ

こうなるともう花にばかり気を取られ、疲れが吹っ飛んでいく。山歩き、高原歩きの醍醐味だ。

もちろん9月ともなれば木や草は来年のための準備をする。赤や青、濃い群青色の実が、足元にも頭上にも宝石のように輝いている。澄んだ空気の中、秋の花と、様々な実と、そして標高が高くなれば紅葉の始まりと・・・重なる色彩が自然の中に立つ私たちを包んでくれる。

photo・ヤクシソウ
ヤクシソウ

photo・ナンブアザミ
ナンブアザミ

アザミは何種類もの花が咲いているようだが、なかなか名前がわからない。「あ、アザミ」と呼んで指さすのが精一杯。それでも少しずつわかるようになってきただろうか。今年はナンブアザミを見つけた気がする。そしていつも名前がわからないまま「綺麗ね」と眺めていた小さな青紫の花も、ヤマハッカと知ることができたようだ。名前を知ると何だか親しくなったようで嬉しい。

photo・センブリ
センブリ

photo・ヤマハッカ
ヤマハッカ


裏山に咲くセンブリには毎年会いに行くが、どうやらこれもだんだん減ってきているとのこと、絶滅危惧種の仲間入りをしているとか・・・。特に紫のセンブリは少なくなっているらしい。私もまだ見たことはないが、どこかに隠れていつまでも咲いていてほしいものだ。


photo・ヤマハギ シロバナハギ
ヤマハギ シロバナハギ

山々を彩る秋の花、長野の山に自生するハギも、9月の終わりには道を白く赤く染めて花びらがふりつもっている。こんなにたくさんの花びら・・・と拾う。秋を惜しみながら歩く豊かなひとときだ。



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