55 毛無山 1650m(長野県) 
   2018年6月29日(金曜日)


サンカヨウは夫が好きな花の一つ、もちろん私も好きだが、私には好きな花がたくさんあるから、思い入れという点では夫に負けるかもしれない。そんなことはどうでも良いのだが、今年はどうもサンカヨウとは相性が悪い。まだ堅い蕾だったり、もう実になっていたり・・・。天候不順で、花の季節が読みにくいというのもあっただろうか。

サンカヨウの実

野沢温泉スキー場のゲレンデの最高地点は毛無山の山頂になる。スキーに訪れる人は多いが、夏に登る人は少ないそうだ。確かにどこを見てもゲレンデ、しかもかなり上まで林道が続いているのだから、わざわざ汗をかいて登ろうとは思わないかもしれない。私たちのような変わり者を除いては・・・。

それでも夏のシーズンになるとゴンドラが運行されて、ゲレンデを彩る花を見に行く人が増えるらしい。まだハイシーズンではないが、毛無山の山頂近くにはサンカヨウの群落があるとの情報を手に入れて、行ってみようということになった。

動く歩道『遊ロード』1996年


飯山から千曲川を渡り野沢温泉に向かう。奥志賀公園栄線に至る道を右折するところに大きな看板が立っていて、『奥志賀公園栄線全面通行止め』とある。よく見たら、右上に小さな紙が1枚貼ってあって『6月18日より志賀方面開通』とある。どうやら大丈夫そうだと、ゲレンデの下部からくねくねと登って行く。頭上に透明な壁で囲まれたトンネルのような通路が見える。温泉街からゲレンデに直行する動く歩道で、確か『遊ロード』と言っていた。懐かしい。

何回かゲレンデを横切る道を、「ここは長い林間コースだね」「滑っていたら、テンが横切ったね」などと話しながら走り、巣鷹湖キャンプ場脇の駐車場に車を停める。もっと上まで行けるようだが、少しは森の中も歩きたい。シーズンオフのキャンプ場は静かだ。ここから森の中に入って行く。歩き始めるとすぐ足元に白く光るものが点々と目に入る。ギンリョウソウだ。そこにもここにも、あっちにも。踏みそうなくらいたくさん顔を出している。ぽつりぽつりと落ち葉を持ちあげているものから、何本も集まって賑やかなものまで様々な姿だ。

ギンリョウソウ

ギンリョウソウを踏まないように歩き、カニコウモリの蕾を見ながら森を進むと、草原に飛び出した。ゲレンデの端っこらしい。小さな池のような水たまりがあり、水面を覆うように張り出した木の枝に綿飴がいっぱい着いている。いや、もちろん綿飴があるはずもなく・・・、これはモリアオガエルの卵だ。あたりにはカエルの声が響いている。夫と水の周辺をのぞいてみたのだが、カエルを見つけることはできなかった。

モリアオガエルの卵

米山が見える

しばらくカエルの合唱を楽しんだ後、ゲレンデを登リ始めた。広い草原の向こうに日本海が見える。霞んでいるが、米山が見えている。草原にはヨツバヒヨドリが一面に生え、夏のお花畑はさぞかしきれいだろうと思わせられる。ゲレンデをひと登りすると、林道の向こうに『白樺コース』の案内板が見えてきた。私たちは案内に従って白樺コースを進むことにする。白樺コースとは言うが、ブナの木がたくさんあって気持ちよいコースだ。標高差もあまり無い森の中の道をのんびり歩いていく。散歩コースだ。ツクバネソウはまだ花をつけているが、ツバメオモトもエンレイソウもイワカガミも、みんな実になっている。楽しみにしてきたサンカヨウもコースの入り口に一株、実をつけているのみ。たとえ実になっていてももっと沢山見られるかと思っていたので拍子抜け。

広いゲレンデを行く

明るいブナ林

とは言うものの、明るいブナの森は美しい。白樺やダケカンバが独特の色合いの木肌を楽しませてくれる。白樺コースを登りきると、長坂ゴンドラ駅の前に出る。ここからは一気に小毛無山の展望台へ。目の下には千曲川の流れが横切り、その向こうに信越県境の山々が青く連なっている。三角に飛び出しているところは鍋倉山だろう。

小毛無山山頂   ゲレンデマップ

小毛無山からは稜線のゲレンデを登って毛無山まで。ゲレンデマップが頭上高いところにあり、積雪量の多さを実感する。最後の登りになった辺りはマイヅルソウの大群落だった。どこまでも白い花が続く。そしてようやくちらほらとサンカヨウの葉を見つけた。花は終わり、実になっている。サンカヨウの実は熟すととても魅力的なブルーになるのだが、まだ緑の小さな実だ。

ゲレンデの脇にはブナの大木があり、青い実が落ちている。昨年か一昨年かの若木がたくさん見られるから、この辺りの芽吹きはいいのだろう。豪雪の下で身を守り、こうして夏に精一杯伸びて、何十年も、いや百年をも越えてようやく今目の前にそびえるような大木になっていくのだ。草原にはきれいなオレンジ色の蝶が、私たちを案内するように舞っている。

蝶に案内されて、ついに毛無山の山頂に着いた。スキーで訪れた時はゲレンデマップを見ながら山頂看板を探したが、見つからなかった。いま思えば、当たり前。雪の下に埋もれていたのだ。山頂には小さな石の祠と森に隠れるように三角点があった。


スキーの時には見つけられない山頂

山頂付近からの展望を楽しんだ後、再び来たコースを降りる。ゲレンデは広いので、できるだけ違うルートを歩くようにする。乾燥しているかと思ったゲレンデは意外と湿っていて、小さな湿地が点在している。白樺コースの分かれ道から巣鷹湖までの遊歩道に入ると、ここにもギンリョウソウがいたるところにピョコピョコ顔を出している。

静かな巣鷹湖に別れを告げ、車に乗る。ゲレンデ上の曲がりくねった道に『サンセットポイント』という看板が立っていたので停車して眺めを楽しんだ。遠く山並みに雲が棚引き、目の下の温泉街が静かな佇まいをみせている。すぐ後ろには緑のゲレンデが伸びやかに広がっている。夕陽には早かったけれど、素敵な風景だ。


北竜湖

野沢温泉から国道117号線に出る途中、北竜湖に立ち寄った。今も営業しているのか、小さな北竜湖スキー場の下を通って湖に出る。青い湖面にハスの花が開き始めていた。ハート形の湖ということで知られているそうだが、湖岸からはきれいなハートには見えないのが残念だ。ほとんど人の姿が見えない静かな山あいの湖に、ハートを求めてか・・・練馬No.の観光バスが3台並んで停まっていた。



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