34 カヤの平 1460m(長野県)      2017年10月5日(木曜日)

地図・カヤの平


自然の中を歩くことが好きな友人がやってきた。カヤの平のブナの森の美しさを紹介したら、行ってみたいというので一緒に歩くことにした。

長野は9月から寒さが厳しく、10月は雨模様でのスタートだった。天気予報で一日だけ晴れマークがある日の前日、友人たちは山梨からやってきた。

前日の夜は久しぶりの話が弾み、ついつい遅くまで起きている。翌日の運転に備えて、男性二人は比較的早く休んだが、私と友人は日付が変わるくらいまでおしゃべりを楽しんだ。


当日、雲は多いが青空も見えている。まずまずの歩き日和。2週間前に夫と二人で通った道を今日は4人で楽しくおしゃべりしながら行く。運転は山道に慣れた友人がかってくれた。いつも運転席にいるため道端の景色を眺められない夫が、今日は嬉しそうに周囲を眺めている。何回も通った道だけれど、流れる景色を見ながら行くのはまた気分が違うと嬉しそうだ。


中野市から国道403号を行き、高社山を回ってから山道を登る。ぐんぐん高度をかせいで行くと、森が明るい黄金色に染まってくる。シラカバ、ダケカンバの森からブナの森、どこまでも続く深い森だ。

写真・10月のカヤの平
10月 静かなブナの森

カヤの平の総合案内所に車を停める。車を下りると風が冷たい。靴を履き替えてジャンバーをはおる。さぁ、出発だ。

森の中に入ると風が穏やかになり、暖かい。数メートルも歩いたろうか・・・友人が歓声を上げる。
「見て、見て、このササ大きい!」

新潟で育ち、ササ餅やササ団子が生活の中に当たり前にあった私にとってはごく普通のササの葉だが、友人は感動している。彼女は山梨の山のササでちまきを作ったのだそうだが、小さくなってしまったと言う。嬉しそうな友人とササ摘みをしながら、子どもの頃季節になるとササの葉採りに行かされたことなどを思い出していた。

写真・大きなササ
こんなに大きなササ!


森の中は紅葉がすすみ、光が踊っている。落ち葉が厚く積もっている道は足に優しい。森は冬支度に忙しいのだろうが、私たちはブナの実を拾ってみたり、落ち葉をかざして形を楽しんだりしながら、ゆっくりゆっくり歩く。キノコももちろん見えるが、2週間前に比べるとずいぶん減った。

山や樹木に詳しい友人が、鳥の声を聞きながら「コゲラがいるよ」などと教えてくれる。私たちはいつも写真を撮ったり、花を見つけたり、遠くを眺めたりしながら自分たちのペースで、ゆっくり歩くことが多い。でも、時には友人と話しながら歩くのも楽しい。一緒に歩いて、発見が広がったり、楽しみが膨らんだりするようだ。『友人』だからこそなんだろうか・・・。

写真・キノコ4種
色々なキノコ


森の中は鳥の声と私たちだけ、誰にも出会わない。私たちの見えないところで動物たちは忙しくしているのかもしれない。そう言えば、友人が「オ!」と叫んで指差した先には巨大ナメクジが!太い木の幹のちょうど私たちの目の高さ当たりにへばりついている。大きい。長さは10㎝以上、太さは2㎝ほど、淡い木肌の色と同化しているが背中に茶色の模様が見える。こんな大きなもの、見たこと無い。やっぱり森に詳しい人は目が違うのだろうか。4人にじっと見られても身動きしない巨大ナメクジには早々にお別れをして、私たちは北ドブ湿原に向かった。


写真・北ドブ湿原の草モミジ
北ドブ湿原の草モミジ

もう一面の草モミジ。サラシナショウマもタムラソウも、ミズギクも、ウメバチソウも・・・みんな終わり。広がってきた青空の下にオレンジ色の湿原が揺れて光っている。

さわやかな風。湿原の奥の四阿でおにぎりを食べることにする。持って来たのは我が家のミョウガを味噌につけただけの刻みミョウガをまぶしたおにぎり。ちょっと塩味が薄いかな、でもミョウガのほろ苦さと味噌の香りがおいしい。

写真・北ドブ湿原にて
北ドブ湿原にて

いつも二人で歩いているのでなかなかツーショットが撮れないのだが、今回は友人と交代で撮り合ってみた。


写真・トチノキ樹冠
トチノキの樹冠から日の光

おにぎりを食べて、清々しい空気を十分味わったあとは、湿原の奥を一回りして再びブナの森の中に戻る。広葉樹の混淆林、大きなトチノキの葉を見上げるのも面白い。天狗の葉ウチワとはこのことか?湿原の渕にはオオウバユリの実も巨大だ。花の頃、来てみたい。ウバユリとは花の頃には葉が無くなるので、歯(葉)が無いから姥なのだそうだ。なんだか、可哀想な名前だ。自然の中にはそういう変わった名前の植物がたくさんあるが、可哀想だけれど、生活に密着していたとも言えるのかもしれない。

写真・オオウバユリ
オオウバユリの実


フカフカの落ち葉の絨毯を踏みながら歩いて行くと、今日森の中で初めての人に出会った。腰に籠をぶら下げてキノコを採っているおじさんだ。籠の中を見せてくれる。遊歩道を歩いているだけでは見つけられないようなキノコも、毒キノコも展示用に採っているのだとか。しばらくうんちくを聞いて別れた。


巨大なブナが多い。巻き付いたツルまでも自分の幹に飲み込んでゴツゴツとそびえているブナは圧巻だ。言葉も無く見上げる。

写真・巨大なブナの木
巨大なブナを見上げる

森の中でのひとときは何かを深く考えている訳ではないのに、賢者の思考に助けられたように自分が浄化されている気がする。山道をひたすら登っている時などもそうだ。その時は何も考えていないのだけれど・・・。いや、何も考えていない時そのものが嬉しい贈り物なのかもしれない。自然からの。

写真・森を行く
森を行く


山梨に帰った友人から「大成功!」と、ササちまきの写真が届いた。これも自然からの贈り物!

写真・ササで作ったちまき
カヤの平のササで友人が作ったちまき


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