3 髻山(もとどりやま)(長野県)744m
       2016年4月23日(土曜日)

地図・髻山


珍しい山名の山を選んで歩いている訳ではないのだが、またもやなかなか読めない名前の山に行ってきた。『もとどり山』という。長野盆地の北を取り巻く山塊の東のはずれ、我が家のすぐ北の山から緩い尾根が続いている、その端っこの山で、山城だったのだそう。

標高が高くないのと、ちょっと一歩きしてこようという気分で出かけられるということが魅力の、長野市在住の私たちにとっては身近な山だ。なかなか安定しない春の天気、今日は一日晴れそうだという予報を聞いて、出かけることにした。

この山の山頂付近にはカタクリの群落があると、市のホームページに案内があったので、今年はもう遅くても来年のために見てこようかという気持ちもあった。


長野から信濃町に通じる道路を走り、右に行けば豊野方面という『吉』の信号を左に入って、少し登るとじきに10台くらいのスペースの駐車場がある。近づくと、人がたくさんいる。車もかなりいっぱいだ。土曜日なので、何かイベントがあるのだろうか。少し躊躇したが、せっかくここまで来たのだからと、車を奥の1台空いたスペースに入れる。トレッキングスタイルのおじさんが見に来た。車間を確認してくれたようだ。

簡易テーブルを出して何か書いていたところに行って「駐車料金ですか」と聞くと、このグループの参加者の点呼だった。駐車は無料。

自分のことを棚に上げて言えば、そこに集まっているのは年配の方ばかり。男女15、6人のグループ。駐車場で輪になって、リーダーらしい人のあいさつが始まった。


私たちは、グループに混じらないように出発する。来た道を少し歩くと、登山口がある。リンゴ畑の脇の道を進むと気持ちいい林の中に入る。道は少し湿っている。長野の里山を歩いても、冬以外はほとんど乾いているが、ここは珍しい。雪が多いのだろうか。だからカタクリが咲くんだねと、夫と話しながらゆっくり歩く。

写真・ヒトリシズカ
ヒトリシズカ


年を重ねてだんだん歩くのが遅くなっている。これまでの私は、登り始めはとてもゆっくりで人に追い越されることが多いが、そのままのペースで歩いて行くと、最後にはまた一人一人追い越して結構標準タイムで歩けていた。しかし、最近は追い越されることは多いが、追い越すことはほとんど無くなった。


花を見ながらゆっくり行く。ヒトリシズカが白い花穂を覗かせている。こんな柔らかい葉が堅い地面を持ち上げるようにして花穂を天に向けて伸ばしてくる。糸のように細いがその白は輝いている。野の花は小さいものが多いが、一つ一つ違っていて面白い。

写真・観音清水の由来

しばらく歩くと平らに開けた場所に出る。今は笹に覆われているが、以前は開墾されて畑だったのだろう。小さなため池もあり、水の道がわずかに残っている。かつての畑のふちをたどって再び登り道になる。道は整備されていて歩きやすい。

再び少し開けたところに看板が立っていた。その『観音清水の由来』によると、上杉謙信ゆかりの井戸らしい。看板の奥の草の中に、石垣で囲った水場が見える。今でも少しずつ流れ出している。

写真・観音清水


長野市では川中島の合戦の跡が史跡として有名だが、他にも謙信ゆかりの話や史跡はいくつもあるようだ。


清水を後に、少し傾斜を増した道を登る。左に八方峠への道を分けるともう空が近い。この辺りから、カタクリの葉が見られるようになる。大きな葉の間からは伸びた茎の先に緑の固まり、やっぱり、花は終わってるね。

写真・カタクリ
カタクリ

でも、あった。まだきれいに咲いている株が。あっちにもこっちにも。斜面の奥には枯れた花びらになごりを乗せた株が群生している。盛りには美しい桃色の斜面になったのだろう。足元には濃い赤のイカリソウがこれから盛りを迎えるようだ。ポツポツと咲き始めている。

自然は、私たちの日常とは関係なくあるべき歩幅で歩みを続けている。

「きれいな花は一度に開いてくれれば、一回で楽しめるのに・・・」などと、無謀なことを頼みにしない自分をほめてみようか。


カタクリのなごりを楽しむとすぐ頂上に着く。城跡というだけあって、広い。休憩用の屋根があって、奥に三角点。この山は地元の小学生たちが登るのだろうか、学習用の看板がいくつか建ててある。三角点の説明や天測点の説明。北東に広がる盆地の向こうのなだらかな山なみも美しく、山名が記された展望看板がある。奥志賀からその向こうは新潟に連なる山々だ。何度も通ったカヤノ平も見える。

写真・城跡跡看板

とても気持ち良く晴れていて、私たちは展望を楽しんだ。

ここにある天測点は、星を観測して緯度・軽度などを知る天文測量の観測標のことだが、長野にはここしかないということは初めて知った。いや、それより全国に48点しかなかったということも、初めて知る。昭和の中期、まだ観測機械がとても重い時代の、これもなごりなのだという。


とても気持ちのいい山頂だったが、私たちは昼食を用意してこなかった。八方峠の先から旧道を戻ることにして、山頂を後にした。


分岐から少し下ると、林道をまたぐ。栗や杉などの森を抜けて、北側が開けて見晴らしの良い場所に出る。飯縄、黒姫、妙高、さらに奥にまだ真っ白に雪を抱く山々、北信(信越か)五岳と言うだけあって、雄大だ。

八方峠の直下は沢になっていて急な下り。登り返すと三登山への尾根道になる。下ろうと思っている地図上の旧道はない。次の見晴らしまで行って引き返そうと言ううちに、二つばかりピークを越えた。明るい林と笹の道が続き、それらしき見晴らしはない。ついに今日は諦めて引き返すことにした。

八方峠下の沢沿いに古い踏み後らしきものがあったが、綱が張ってあり進入禁止となっている。しかたなく、林道まで戻って「優雅な林道歩きといこう」と、さらに引き返す。

ところが、いつもそう思うのに学べない私たちは、またもや、大変遠回りの林道歩きをすることになってしまった。歩けど、歩けど、駐車場は見えてこない。


覚悟を決めて道端の草々を楽しみ、水の流れにそうように咲くネコノメソウを楽しみ、ぶらぶらと愛車までの林道歩きをしたのだった。



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