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 グルッと観音山 575m 葛山 812m 地附山 733m(長野県)

2020年12月11日(金)


12月になっても寒さが堪えるというほど冷え込んでこない。さすがに早朝の庭を一面の霜が覆い、朝日を照り返している日も見られるようになったが。

photo 長野市街地(手前善光寺)と菅平
長野市街地(手前善光寺)と菅平

だが、暖かいということはそのまま快晴ということにはならない。雲が多いお天気で、雨粒は落ちてこないけれど・・・という空模様の日も多い。しかも長野では、一日中同じ空ではなくて、コロコロ変わっていく。冬の山歩きは、低山といえども雨には当られたくない。晴れの日を待っていたら日が過ぎていく。ちょっと雲があっても歩いてこようか・・・と思っていたら、夫が「葛(かつら)山に行ってみようか」とポツリ。

photo 往生寺の石段を登る
往生寺の石段を登る

我が家の玄関から歩いて登れる数少ない裏山の一つ、葛山。ただ、歩いて登れる一番近いコースは道が荒れていて、倒木を越えたりくぐったりしなければならない。昨年の大型台風でたくさんの道が崩れたので、もともと荒れていた葛山のコースはさぞかし・・・と、つい敬遠していた。

photo アメリカイヌホウズキかなぁ?
アメリカイヌホウズキかなぁ?

しかし実は、倒木をくぐったり藪を払ったり、どっこいしょと跨ぎ越えたりして行く山道は面白い。ワクワクする。様子を見に行ってみたいねと、話していたのだ。

急に決めたので、有り合わせのパンと煎餅を持って出発。登山口の往生寺に着くともう息が上がっている。往生寺は唱歌『夕焼け小焼け』に唄われる、鐘が鳴る『山のお寺』なのだそうだ。観音山のすぐ下に建っているから、ここまで来ればもう一山登ったようなものだ。落ち葉でふかふかの冬の山道にもまだ花の色がある。草や木の実を見つけ、わずかに咲き残った花を愛でながら先へ行こう。

photo タムラソウ,ハダカホウズキなど
色も形も芸術的な実

map観音山 葛山 地附山

墓地を抜けて今日は坂東三十三観音道を登る(観音山までは西国三十三観音道もある)。葉を落とした森の道は、灌木の幼樹が道の真ん中にも生え出してきて歩きにくくなっている。それでも誰かに踏まれてはいるようで、道の痕跡はある。ジグザグに観音様に挨拶しながら登ると、観音山。

photo 観音山山頂の古い案内図
観音山山頂の古い案内図


ここまではお寺の庭のようなもの、さて、先に進もうか。観音山の山頂下を巻く、葛山へと続く道には大きな倒木が横たわっている。前に来たときは何本もの倒木が道を塞ぎ、とても通り抜けられないほどだったが、今見ると、太い木が倒れているだけなので、通れそうだ。しかし、私たちは以前通った直接裏へ降りる斜面を辿って先へ進んだ。

photo 荒れた道を行く
荒れた道を行く

photo 荒れた道を行く2
荒れた道を行く2

photo 倒木を越える
倒木を越える

登るにつれ荒れた様相が濃くなっていく。思った通り、道にはたくさんの木が倒れ込んでいる。また、道の脇に生えていた太い木が倒れて、大きな根周りの土ごと道をえぐっているところもある。しかし、恐れていたほどには道は荒れていない。人が歩いた跡がしっかり残っている。藪になって荒れ果てていたら枝を払って行こうかと、剪定バサミを隠し持ってきたのだが、使わずに済みそうだ。

photo ツガサルノコシカケ
ツガサルノコシカケの寿命は数十年

所々崖に崩れ落ちそうな道を注意深く歩いて、葛山を取り巻く林道に登り着いた。この林道を真っ直ぐ進むと頼朝山分岐を経て静松寺に行くことができる。今日はすぐ林道とは別れて、葛山を目指す。観音山の山頂にある案内板に「からまつ歩道」とある道だ。

photo 森に生きるキノコ、粘菌
森に生きるキノコ、粘菌

photo ウスタビガの繭
鮮やか、ウスタビガの繭

冬の森は明るい。もちろん落葉樹の森だ。もうキノコの姿もあまり見られないが、この森にはサルノコシカケが多い。「そういえば、とても大きいのがあったよね」「気がつかなかったね」「無くなっちゃったのかな」。気がついたところから探しながら歩くが、見つけられない。小型のものはたくさんあるのだが・・・。サルノコシカケの寿命は分からないけれど、硬くて掌よりずっと大きいのは何年も生きているのじゃないだろうか。もしかしたら、宿っていた木そのものが倒れてしまったのかもしれない。

photo 鹿島槍ヶ岳
鹿島槍ヶ岳

裸の森は茶色一色だけれど、時折枝の先に緑色が光っている。淡い黄緑の光を纏った塊は宝石のようだが、これは虫が作ったもの。ウスタビガの繭だ。冬の森でよく見かける。


葛山の頂上が近づくと、何やら賑やかな声が聞こえてきた。ジャンケンをしているようだ。子供たちがやってきているのだろうか。太い木の根をよじ登るようにして山頂にたどり着くと、7、8人の昔少女がたくさんのご馳走を囲んで賑やかに談笑している。ま、私も昔少女ですが・・。

photo 葛山山頂
葛山山頂

広いとはいえ、山の上には壁はない。大きな声の彼女たちの話が漏れ聞こえてくる。それぞれ持ち寄ったのか、料理の説明などで盛り上がっているようだ。

彼女たちの笑い声をバックミュージックにして、今日はわびしい我が家の軽食、パンと煎餅をかじった。雲が湧いては流れていく。まだまだ暖かい冬とはいえ、北アルプスの天辺はかなり白くなってきた。戸隠山や高妻山は、青い山肌を見せている。一時白くなったけれど、このところの暖かさで消えたらしい。


さて、果てるとも知れぬ賑やかな声とサヨナラをして先へ行こうか。

photo 葛山山頂の展望(手前旭山)
葛山山頂の展望(手前旭山)

登り始めたときは、同じ道を帰ろうと思っていたのだが、目の前の大峰山を見ていたら、裏を回って行ってみたくなった。戸隠へ登っていく七曲の道の上から分かれて車道が走っている。大峰山の頂上に『蝶の博物館』があった頃に作られた道だろう。車道歩きはつまらないことが多いけれど、たっぷり時間があるときには違う景色を見ながらのんびり歩くのもいいかも知れない。

photo 葛山北斜面から斑尾山
葛山北斜面から斑尾山


芋井、荒安方面へ下っていく。かつての城の名残か、下るごとに段々になって小さな広場がある。東を見れば志賀高原の山々が霞の上に連なり、北の外れにポツリと斑尾山が独立峰らしい姿を見せている。北西方面には北アルプスの白い峰々、白馬槍ヶ岳が雲の影から顔を出している。遠くの山々を眺めながら、一面落ち葉が敷かれたような森をゆっくり降りていく。


photo 一面の落ち葉
一面の落ち葉

photo まん丸ネコが道案内
まん丸ネコが道案内

芋井の登山口を過ぎて荒安方面に向かう。初めて登った時には廃墟のようになった家があったが、今は更地になっている。「大きな猫がいたね」と話していたら(※)、まん丸に太った猫がぴょんと道に飛び出した。「お〜い、猫さん」と呼びかけるけれど、ちょこちょこ歩いていく。時々振り返って見るので、道案内をしているようだ。しばらく道案内をしてくれたが、大きな農家らしい家の垣根の向こうに消えて行った。猫さんと別れてジグザグ登ると戸隠へ続く道が見えてきた。トンネルをくぐって車道に出ると、戸隠方面に行く道と別れ、大峰城方面を目指す。

photo グルッと回って地附山へ
グルッと回って地附山へ

分岐からわずかに登ると、旧バードラインが左に分かれている。大きな地滑りによって現在の地附山公園あたりが崩れてしまい、以後一般車は通行できない。柵があって許可車だけが通行できるようだ。

柵の脇に人の歩いた跡が道になっているので、そこから入った。地附山の裏をグルッと回るコースも面白いかと思ったからだったが、冬の荒れた車道歩きはなんだかわびしい。車がほとんど通らない道なので、落ち葉が厚く積もっているところも多い。ちょっとほじくると美味しそうな腐葉土になっている。「袋に入れてもらって帰ろうか」「いやいや、狭い庭には自前の草だけで十分です」などと話しながら歩く。飯縄山が近いが、高い樹木の向こうになってあまりよく見えないのが残念だ。


photo 岩井堂観音にお参りして帰ろう
岩井堂観音にお参りして帰ろう

30分ほど歩いて地附山の山頂に到着。妙高山、黒姫山は雲に隠れている。スキー場跡、物見岩を経由して帰ることにする。木の枝越しに葛山が見えている。グルッと一回りしてきたね。

物見岩からの下りでは、1週間ほど前に大峰山に登った時無くしたストックの先ゴムを発見するという、おまけがついてきた。



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