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 有旅茶臼山 699m、茶臼山 730m、山ノ神 531m(長野県)

2020年11月18日(水)


map 茶臼山,有旅茶臼山

長野市の中心街から南西に、緩やかな山陵の茶臼山が盛り上がっている(※1)。地滑り地帯なので様々な工夫が凝らされた斜面には動物園、恐竜公園、自然植物園などが広がっている。周辺にはたわわに実ったリンゴ園が続き、豊かな里山の風景だ。茶臼山を越えると、棚田や溜池が点在し、アルプスの雄大な連なりを遠景にする山村、信里(のぶさと)地区。

photo 信里(のぶさと)の風景 アルプスの雄大な連なり
信里(のぶさと)の風景

新聞に信里地区の記事があったからか、その前に発見した「山ノ神」に心が引かれていたのか、洗濯を干し終わってほっとしていると、夫が「おにぎりを作ろう」と言う。首を傾げると、「信里に行ってこよう」と続く。新聞記事では外国人の女性がにこやかに微笑んでいる。「信里に行って大きな声で呼ぶの?」「そう」「会えるかなぁ」冗談を言いながら、私も慌てて山歩きの準備をする。


photo 灌木の間を登る(有旅茶臼山)
灌木の間を登る

家を出たのは9時を回っていた。長野の市街地を抜けるので出勤ラッシュを避けようという思惑通り、道路は比較的空いていた。茶臼山の山腹を一気に登り、信里小学校の前まで行く。わずかに山道を入ると小さな駐車場がある。ここから川中島合戦の石碑が立つ旗塚まではすぐ。前に来た時は、旗塚でお参りして下り始めたが、今日は有旅(うたび)茶臼山 699mの天辺を踏みにいく。荒れていて道らしい道はないが、灌木の間に踏み跡らしきものが見える。木々が葉を落とすこの季節になると、藪歩きも楽になる。

photo 狭い山頂で(有旅茶臼山)
狭い山頂で(有旅茶臼山)

一息で、その向こうは垂直に崩れている頂に到着。ここは南峰と呼ばれ、北の茶臼山と同じくらいの標高で双耳峰だったそうだが、幾度かの地滑りで崩れ、かなり標高が下がってしまったそうだ。

photo 崩れてしまった有旅茶臼山
崩れてしまった有旅茶臼山

さて、次は茶臼山へ向かおう。道端にフユノハナワラビがポツリポツリと立っている。穂に触ると白い煙を吹くように胞子を飛ばす。

道は落ち葉が積もり、足が埋もれそうだ。ゆっくり登って山頂への分岐を右に入ろうとしたが、何本もの木が横に置かれ、通せんぼをしている。前に来たときは落ち葉が掃いてあったのに、変だね(※2)。「ここを通ってはいけません」という意思表示だよね。ということで、先へ進み、北側の杉林から山頂へ向かった。

photo フユノハナワラビ 茶臼山
フユノハナワラビ

photo 茶臼山山頂
茶臼山山頂

遠くから見てもなだらかな稜線の茶臼山の山頂は林の中で広々している。周囲が森なので見晴らしはないけれど、三角点がある。そして、南に下る道の入り口にはやはり通行止めの看板があった。2月に来たときは通れたけれど、そのあと崩れちゃったんだね。

photo 通行止め 茶臼山山頂
通行止め

里山の手入れは大変だ。今、街の中での生活では里山の恵みを頼りにしていないため、荒れてしまっても気がつかないことが多い。間伐した木で薪や炭を作ったり、原木に菌を植えてキノコを栽培したり、堆肥を作るために落ち葉を集めたりする人の手が入っていない里山はゆっくりと死んでいく。寂しい姿をたくさん見てきた。森が死ぬということは水が暴れるということにつながり、狭い国土の日本では大きな災害になってしまうのだ。農林水産省、環境省に頑張ってもらうのは当たり前だが、たくさんの人が山へ、森へ、実際に足を運ぶことが豊かな自然作りへの近道なのかもしれないと思う。

photo ヒカゲタケ,サルノコシカケ,ツルアリドウシ,虫瘤,美しい自然の妙 茶臼山
美しい自然の妙

photo 遠くに槍ヶ岳 茶臼山から
遠くに槍ヶ岳


話は横道に逸れてしまったが、足は一本松へ向かって進んだ。途中のアルプス展望台に寄ってみたが、雲が多くてくっきり見えない。しかし、目の前の北アルプス北部だけではなく、遠く槍ヶ岳まで見える、素晴らしい展望台だ。何より、目の下に広がる信里の美しい里山風景とその向こうの雪を頂く岩壁との対比が素晴らしい。


photo 晩秋の森を歩く 茶臼山から一本松
晩秋の森を歩く

一本松へ近づく頃、一人の男性とすれ違った。今日の山歩きでのたった一人の出会い。すれ違って一本松の峠に到着。今日はその先に行く予定なので、ここでは休まずさらに足を進める。進むと言っても、道は下り坂。有旅茶臼山のほぼ頂上と同じ標高に車を停めたので、茶臼山にちょっと登った他は全て下りというおかしな登山。ぐんぐん下って、平坦な鞍部に下り着くと、後はわずかに登って、そこが山ノ神 531m山頂だ。祀ってある祠にお参りし、少しだけ開けている木々の間から中尾山(なこおやま)の稜線を眺める。

photo 山ノ神 531m点
山ノ神 531mに到着

ふと目にした『山ノ神』という山名に気持ちが惹かれてやってきたが、下ってきて到着という成り行きになんだか満足感が湧かない。まぁ、目的達成ということで、さぁ帰りましょう。今度は坂道をエッサエッサと登り出す。茶臼山で一回着替えたけれど、すでに夫は汗だく。一本松まで登ったところで再び着替え。


photo 手作りおにぎり最高!一本松で
手作りおにぎり最高!一本松で

さっぱりしておにぎりを食べよう。峠には大きな看板が立っている。中尾山は、その昔麓の小学生が薪を集めに登ったところだそう。地元の人たちが小学生のために綺麗な森を守り続けてきたと書いてある。

人が入ってきた森は生き残っていくのだと嬉しくなる。お腹をいっぱいにして再びゆっくり登り道を帰る。最後に夫は3回目の着替えをして、ようやく車に到着した。



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