142 嬉しい出会い 三笠山 780m(長野県)

2020年11月13日(金)

地図 三笠山


「長野市に三笠山という山があるって」「どこにあるの?」。そんな会話をしたのは半月ほど前。登山道ガイドなど見つからない、里山中の里山みたいだ。とりつきの道路が分かりにくいなぁと言いながら、何故か夫は気になっていたようだ。阿倍仲麻呂の有名な歌(天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも)に惹かれたわけでもないと思うが・・・。

photo 三笠山(城山公民館より)
三笠山(城山公民館より)

真っ青な秋空の下、裏山を歩いてきた翌日、今日も上天気。10時になる頃に「三笠山に行ってみようか」と夫が呟く。呟きながらもガタゴト準備をしている。数日前まで体調を崩していた人とは思えない嬉しい成り行きに、私も慌てて準備をする。

家を出たのは10時を回っていた。長野市内の道路は通勤ラッシュが終わって空いている。裾花川を西に渡ると安茂里地区、山裾に開けた住宅街を車で一気に登る。ついにこれより上には行けないところについた。赤く実ったリンゴ畑で男性が草刈り作業をしている。

photo リンゴ畑の脇に駐車 三笠山登山
リンゴ畑の脇に駐車

作業の手を止めて申し訳ないが、登山口についてと、車を置く場所についてお聞きする。リンゴ畑の上の道は広く、男性はそこに置いといていいよと言ってくださったので、安心して駐車し、登山靴に履き替える。すぐ先に御社があり、そこから登り始めることになる。男性は、MTB(マウンテンバイク)がいっぱい走っているよと教えてくれた。


photo 登山口 三笠山
登山口

photo 荒れたリンゴ畑 三笠山
荒れたリンゴ畑

歩き始めると、今日は暑いくらいだ。すぐに二人とも上着を脱ぐ。なるほど、MTBが通るというだけあって、道は広くわかりやすい。紅葉が煌めく森の中をしばらく登ると、朽ちた農家の小屋らしきものが見えてきた。周りにはかつてリンゴ畑だったらしい、リンゴの木々。茶色になった小さなリンゴがたくさんぶら下がっている。リンゴも手入れをしてあげないとこんなに荒れてしまうのかとびっくりした。米もリンゴも、自然から物をいただくというのは大変な労力の結果なのだと思う。

photo 登山道で 三笠山
登山道で

かつてのリンゴ畑を過ぎると、道は本格的な山道になる。それでも、道幅は広い。所々に太い自転車のタイヤ痕が見える。しばらく登るが、誰にも合わない。タイヤの痕はたくさんあるけれど、走っていないねと話しながら林の中をゆっくり行く。左には、木々の向こうに今日の目的地三笠山が見え隠れしている。黄葉が進んだ森の端には秋の名残の花が時々残っている。森にはカラマツが増えてきた。カラマツもずいぶん葉を落としている。細い尾根を通ると森が急に開ける。右の旭山と左の三笠山の鞍部になるのだろうか。

photo オヤマボクチ,リュウノウギク,シロヨメナ?,ヤブラン,秋の名残 三笠山登山道で
秋の名残

遠くから「こんにちは〜」と呼ぶ声がする。前をいく夫の影になって見えなかったが、前方に人がいるようだ。立ち止まって手を振っているようだ。「なんだろう」「何かあったのかな」などと話しながら近づくと、足元に一輪車を置いた青年がニコニコしながら立っていた。

「ここは市の道路なんですよ」と言う青年は、「僕はプロ・ニートです」と苦笑い。聞けば、MTBを楽しむ人で、市の許可も得て、道(コース)の整備をしているのだそうだ。いくつかのコースを仲間と共に楽しんでいるが、自然の中に入らせてもらっているのだから、できるだけ自然を傷めないように、時間があるときに整備に入っていると言う。

photo 一人でコースを整備する青年 三笠山登山道で
一人でコースを整備する(掲載の承諾を得ています)

自転車で山に入り、近くの地主さんに置かせてもらっている一輪車を引いて作業をするそうだ。林道に溜まった土や落ち葉を掃き集めて、コースの凹んだところ、水が溜まりやすいところに持っていく。たった一人でその作業をしている青年に脱帽だ。

笑顔が素敵なので、一緒に写真を撮らせてもらった。我が家のホームページの話をすると、スマホでコースを走る映像を見せてくれた。仲間との楽しそうな滑走だ。

一輪車を持って上がる青年と話しながら、旭山の中腹を走る林道に出る。そこで作業をするという彼と別れて、私たちは三笠山への登山道に入る。道は林道をわずかに登ったところから踏み跡を辿る。

急な尾根を一息に登ると、そこは三笠山山頂780m。山名を示す標識も看板もないので、持っていったノートに三笠山と書いて撮影。もちろん三脚も持っていないので、そこは木に助けてもらって自動シャッターだ。

photo 山頂でお煎餅を食べる 三笠山
山頂でお煎餅を食べる

photo 木の枝を利用してカメラをセット 三笠山山頂
木の枝を利用して
カメラをセット

photo 三笠山780mの山頂で
三笠山 780m
の山頂で

周囲には富士ノ塔山、旭山が連なっているのだが、茂っている木の向こうに輪郭が見えるだけ。見晴らしはあまりよくない。

お煎餅をかじりながら一休みしていると、脱いだ上着の上を小さなクモが歩いている。足がとても長いザトウムシ。体が小さいうえに足が細い糸のようなので、なかなか見つけにくいが、山にはよくいる。同じクモガタ類に属すけど、クモとは別分類になるそうだ。

photo クモ、樹間にも地上にも 三笠山
クモ、樹間にも地上にも

photo 汗をかいたらすぐ着替える 三笠山登山道
汗をかいたらすぐ着替える

山頂をさらに先に行ってみる。稜線を辿るように踏み跡は続いているから、安茂里駅の方へ降りることができるようだ。しかし今日は途中で着替えたところにシャツを干してきた。あれを回収して帰らなければ。

林道まで降りると、コースを整備していた青年が「僕も今日はもう引き上げます。途中で追い越すかもしれません」と笑いながら一輪車を片付けに向かった。

ちょうど中間地点あたりで、青年が追いついてきた。そして、「気をつけて」と元気に挨拶して風のように走り去っていった。

photo 風月堂「三笠山」
今日のおやつはこれ!


街に戻ると、夫は「あれを買いに行こう」。何かと思ったら、「み・か・さ・や・ま(どら焼き)」。

家に帰って、大好きなどら焼きを食べながら、今日の山歩きの話が尽きないのだった。



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