113 雪雪雪、青田南葉山 949m(新潟県)

2020年5月8日(金)


新潟県上越の青田南葉山を歩いてきた。今年は冬の積雪量が少なかったので、雪解けを待って春の花々に会いに行こうと、少し早めの5月前半に出かけることにした。


朝7時に家を出て、信濃町から高田まで上信越自動車道を走る。上越高田インターを降りるとじきに『南葉高原キャンプ場』への道案内が出ていた。道はすぐ細い山道になり、曲がりながらぐんぐん登っていく。谷沿いの道は、新緑が美しい木々の梢にフジの花が満開だ。崖側にはタニウツギがどこまでも続き、ピンクの壁になっている。ウワミズザクラやオオカメノキの白がアクセント、助手席の私は素晴らしい眺めを堪能していた。

どんどん登ってキャンプ場に到着。キャンプ場の施設は閉鎖中(※)だが、登山者用の駐車場が広い。端のほうに停めると、木々の下にトキワイカリソウやナガハシスミレの群落。すごい、私は大喜び。

登り始め

大きな期待を抱えて、靴を履き替えるのももどかしく歩き始める。キャンプ場へ登ると、頚城平野が見渡せる。正面には頸城三山、さらに右奥には雪を載せた越後三山。青い空気の底には水を張った田んぼも光っている。

(※2020年春世界中に蔓延した、コロナウィルス感染防止のため)


スミレの一部

キャンプ場をまっすぐ突っ切って登山口に着く。実はここで大きな間違いをしていたのだが、私たちは首をひねりながらも進んでしまったのだ。十字路に看板があったので、明神峠へ行く道が右に続いている道だと思ってしまったのだ。まっすぐ登り始めたが、実はこれが明神沢コースの始まりだった。

周辺のカタクリは花が終わって実をつけているものが多かったが、ひらひらとギフチョウらしき蝶が舞っていて、蝶に誘われるようにどんどん歩いた。しばらく登るとカタクリの花がまだピンクに登山道を彩り、コミヤマカタバミの純白の絨毯も出迎え、スミレは何種類も花を咲かせている。

いくつもの沢を渡る

道は沢筋を進み、登ったり降りたりしながら美しい森の中を進んでいる。私たちは一般に登られているという、尾根の木落し坂コースを登るつもりだったから、沢が続くのはやっぱり変。しかし、小さな沢を何度か渡る頃には、地図を見ながら、「帰りに歩こうと思っていた道だと思うから、まぁいいか」と、どこまでも続く青空の下、まだ早い時間という気楽さで歩き進んだ。何よりも道々にシラネアオイ、サンカヨウがたくさん顔を見せてくれたのが嬉しく、もっともっとと楽しみながら進んでいった。

シラネアオイ

サンカヨウ

雪!大きな沢に雪渓が残っていて、その下がもう洞になっている。さて、ここはちょっと怖いぞ。ストックを使ったり、足で雪を叩いたりして、まだ硬いのを確認してから急いで渡る。うっかり雪渓を踏み抜いてしまったら沢に転落してしまうから要注意だ。

無事に沢を渡り、また沢筋の崖の道を進む。「あ、見て。すごい、満開!」谷へ向かって細い水の流れがあり、その周辺にアズマシロカネソウがちょうど満開だ。小さな、小さな花だけれど、薄緑にあずき色のドレスを着ているようだ。周りにはコシノチャルメルソウもたくさん咲き出している。沢コースならではの、花の競演。

アズマシロカネソウ

コシノチャルメルソウ

しかし沢コースはあまり人が歩いていないようで、崖に向かって斜面が崩れそうなところもあり、油断はできない。大きな沢を渡るとようやく尾根に取り付くブナ林の中に入った。ブナの新緑は森全体を染めるようだ。私は森の中に転がるカンアオイを見つけた。コシノカンアオイより小さい、なんという花だろう。キャンプ場の案内にクロヒメカンアオイと書いてあったのをこの時は知らなかった。

花いろいろ

ブナ林を行く

突然、夫が「休もう」と言う。「急に体が重くなってきた」。まずい。木の根本に座っておにぎりを食べる。塩煎餅も食べる。水分も飲む。少し休んだら、元気が戻ったようだ。よし、再び出発。ロープも用意してある急な登りをいくつか登っていくと明神峠についた。

日本海が見える

稜線にもオオイワカガミが一面に艶やかな葉を広げている。ふさふさの花は登るにつれ蕾になってきたけれど、ショウジョウバカマやトキワイカリソウは満開だ。チゴユリ、ニリンソウと花を数えながら登る。

登るにつれ、左側に視界が開け、頸城平野が青白く沈んでいる。そしてそのさらに奥に、輝くようなブルーの日本海が、今日は静かだ。

雪、雪、雪

だが、のんびりしていたのはここまで。

眩い光の向こうに雪原が広がっていた。押し倒された木の幹が横に伸び、うっかり近くを歩くと踏み抜く。嬉しさと厄介さとで、ワイワイ言いながら雪の上を登っていく。目の前にようやく南葉山の丸い頂が姿を表す。かろうじて人が歩いたような足跡が消えかけて続いているので、それを頼りに歩くが、その後も雪が溶けているので安心はできない。

山頂、どこもかしこも雪

なんとか山頂に到着。一面の雪の原。目の前に大きな妙高山、火打山がそびえている、すごい。来た甲斐があったと言うもの。駐車場で見かけた人がいるかと思ったが、無人。足跡も見えない。ここでゆっくりおやつを食べようと思っていたが、とんでもなかった。眩しい。見晴らしを楽しんで、記念撮影をして、腰を下ろせるところを目指して下ることにする。足跡も見えないので、下山路を探すのに苦労した。

花と蝶

行けども、行けども雪が続く。夫はまるでスキーをするかのように飛ばして降りていく。ようやく雪が消えた七号目の展望台で大休憩をして、濡れた足を乾かしてから、木落とし坂コースを下る。ギフチョウがたくさん出迎えてくれた。カンアオイを食草とし、カタクリの蜜を吸う彼らには素敵な環境なのだろう。


イワウチワに会いたいと思い、弟に聞くと「どこにでも咲いてるよ」と一言。新潟の里山に行けば会えるだろうと、妙高を超えてきたのだが、残念ながら今回は会えなかった。

なかなか会えなかった他の花々や蝶には会えたのに、皮肉なものだ。まぁ、次のお楽しみが残って良いと考えることにしよう。



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